まあるい愛で母と子を包み、未来へつなぐ ソラノウタコラム№2 東田 美波さん【後編】

ソラノウタ コラム

前回に引き続きお話を聞かせていただいたのは、和歌山県であいのわ助産院の代表をされている助産師の東田美波さんです。前回は、お仕事への思いや子どもの頃の夢、悩みやそれを乗り越えた経験について伺いました!前編はこちらからどうぞ。
後編は気づきや教訓、これからについて伺ってきました!

Kleuren:仕事や生活の中で得た教訓気づきがあれば教えて下さい

美波さん:ずっと人に入ることがめちゃくちゃ怖かったんだと思います。

だからこそ自分を取り繕っていたのかな

“〇〇が出来る自分”・“いつも笑顔でいる自分”・“こんなことに気づいている自分”だったらいけるんですよね。

でもこれを”取っ払った東田美波になった時”に誰も受け入れてくれないってどこかで思い続けていて。信頼できる方に何度も話している時にそんな自分に自分で気がついたんですよ。

何もできない自分何も武器を持っていない自分にOKが出せないって思っていて。それがないと自分の存在って認められないってどこかで思っていたからだかこらこそいっぱい身に着けてしまって。

でも、これもいらない、あれもいらない、なくても私は存在意味があるってやっと思えるようになってこんな話を誰かとちゃんとできるようになったのだと思います。

「自分はこうなりたい」って5年前から思っていた自分がありました。なのにもうすぐ掴めるって思った時に「いらない」って言う思いがでてきちゃって。

でも、この5年間は夢叶えたいって言ってきたし、みんなにもやるって言ってしまっていたし、夢をかなえる自分でいたかったっていう反対の気持ちもあって。

そこで、信頼できる人と話しているうちに、“海外で頑張る”・“夢をかなえる自分”に重きをおいているだけであって、本心では見つめるところは海外じゃなくて自分だったんだなって気づいたんです。

それで合格したけど、辞退して手放したんですよ。

この助産院を開業した時も、始めは“自分でやってみたい”、“自分の思いを実現させたい”って思って始めました。

でも、実際は一人では何もできないって事に気づかないままスタートして、途中でガス欠になって。

一人ではできないのに一人でやってやるって気持ちだけで先走知った結果、「もう疲れた~」ってなって。それが分かったので、仲間のたくさんいる場所・私自身が満たしてもらっている場所で私も満たされながら私も誰かを満せる人になろうって思っています。

「まずは自分が満たされてなんぼ。そこから溢れたものを届けるようになろう!」って。

活動場所も今は独りぼっちじゃなかったって気づいているけど、どうしても思考の癖で「一人だ」って思う時も今はでてきそうかなって思ったら、物理的にも仲間がいる場所に移って満たしてもらいながら誰かに愛を届けられたらと考えています。

落ちることも最近は本当になくなりましたね。

今までは自分自身を囲っていたから落ちることがなくてメンタルが強かった。きっとすごいドライだったと思いますあの頃。

相手がどうであれ、相手が自分のことキライであってもどうでもいいって思っていました。これは私の人生だからって。でもそれと自分の足で立つこと、人と関わらないのは違うんですよね。

”独りぼっちで一人の鎧の中で生きていく”のと”自分の軸はありながらも誰かに頼って世界を知りながら広げていく”のとは話が全然違っていて。

結局は“自分は自分”であるけれど捉え方が全く変わったんだと思います。

内に入り続けていた時間が長すぎて本当にこのままでは大変な事になったんじゃないかな。

鎧とか囲いといらないって頭では分かっていても、自分がスカスカだと自分自身の事を思っているのに鎧がなくなったら私何もないって思って。

鎧がない状態は何もない自分で、生きている価値ある?って。

自分で自分を認めてないのに鎧で大きく見せようとして、でも何もなくても自分に価値はあるって認めてあげたいのにまだそこが十分じゃなかった結果、いろいろなものを取っ払った自分を想像したら私何もなくなってしまって。

0になった。鎧を脱いだ自分に生きている意味あるのかなって。

そんな時でも信頼できる方は「それでもいい」って何回も言ってもらえて、やっと“いるだけでいい”って本当に思った瞬間でした。

愛犬や赤ちゃんと一緒で何もしなくても家に帰っているだけで誰かを幸せにしてくれる。それだけでそこにいる意味があるってやっと腑に落ちたんですよ。

誰しも同じ命なのに鎧が増えていくとどうしても“何かをしている自分じゃないと”って思ってしまうけどそうじゃないって。

それなのに自分がそれをできていなかった。それが分かった1年でしたね。

2021年の目標があって、「自分を信じて人を信じるです。人も自分も信じようの1年です。」

周りから学ばせてもらうものは山のようにある、そして一人では生きていけないって痛感した1年だったので、人に頼り甘え、でも自分の足で行きたいと思います。

Kleuren:最後にこれからの展望や挑戦していきたいことがあれば教えて下さい

美波さん:妊娠期間や産後新しい事を1人で何かをしないといけない状態に追い込まれる時に絶対それでいいんだよって。お母さんが考えて子どもの為にやっていること、一人しかいないその子を育てるお母さんを支えられる人になりたいです。

自分が安心できる、自分が自信をもって生きていこうって思える時に支えてくれた人みたいにお母さんだけじゃなくて全ての人にそういう人が存在って必要だって思っています。

でも、仕事や家事、いろいろな事でしんどくなったりしない限りそんな人が必要ってことさえ気づかないと思うんです。

全部なんでもOKというわけではないけどバックで支え続けられる人になりたいですね。

そのために自分の知識や技術はいるけど、どんな声をかけるのか、対応をするのか、関わるのかそれだけでいい気がしていて。

そこに愛のある言動だった時、きっとお母さんたちは気づいてくれると思うんです、「大切にされている」って。

なので、今は愛のある言動をできるような自分でいる事が一番の誰かのためになる事だと思ってやっています。

振り返って思うのは、教えてもらったり気づかせてもらえるタイミングはお産の時が多いんです。

あそこに居合わせてもらえるだけで生まれてきた赤ちゃんが伝えてくれること、忘れている大事な事を赤ちゃんは何も持たずして教えてくれている。

だからどんな形でもお産に携われることからは絶対に離れてはいけないって思っています。

自分の助産院でお産をするというのは安全面や知識や技術面を考えると勢いでやってはいけないことだと思っているので自分が子どもを産んで子育てしてここで生きていくって思えるようになってからでいいって思っています。

急ぐことじゃないなって。
でも、もちろんやってみたいですけどね。

命預かることなので安易な気持ちで向き合ってはいけないことって分かっているので。あとは自分のgoが出るまでは、10年後とか20年後とかでいいかなって。

赤ちゃんが生まれる瞬間って全部必然!

だからそれを尊重できるお産がよくて。
こちらのエゴや理由で何かを変えたくない。すべてが必然だけどお母さんと赤ちゃんのそのままの力を発揮できる場所を提供できたらいいなと思います。

美波さんありがとうございました。
お話を聞いていて感じた美波さんの印象は、

子犬のようにコロコロと笑う可愛らしい部分と、暖かく包み込んでくれるようなエネルギーがあって話を聞いてもらいたくなるそんな女性でした。それはまるで赤ちゃんとお母さんの両方を一度に併せ持つような、そんな感じです。
新しいサービスも開始されているそうなので、ぜひ一度ホームページをご覧になってください。URLはこちら⇒https://www.ainowajosanin.com

今まで、たくさん身に着けてしまった鎧の話を聞いていた時にきっと誰しもが感じる孤独感や焦りがそこにあって、頭では分かっているのに感情が揺さぶられてしまって動けない。そんな情景が目にうかびました。鎧をぬぐことを決めるということは本当に勇気がいる事で、でも脱いでしまっても周りの存在は何も変わらないんだって気づいた時の強さはきっと最高の宝物だったんじゃないかなってお話を聞いていて感じました。

今回お話を伺った東田美波さんののプロフィールとあいのわ助産院のについてご紹介

プロフフィール
☆東田美波(ひがしだ みなみ)
☆大阪府生まれ病院勤務後、
 和歌山県2か所の助産院に勤める。
☆産前から大きくなるまでの継続的な関わりを学ぶ
☆2020年に出張専門の“あいのわ助産院”開業。
☆URLはこちら⇒https://www.ainowajosanin.com
☆好きな事:笑う、食べる、寝る、歌う、絵を書く、言葉を綴る、おしゃべりする